ごあいさつ

このホームページは、日本学術振興会科学研究費補助金・基盤研究(A)「法曹の新職域グランドデザイン構築」の研究プロジェクトのホームページです。本研究プロジェクトは、大阪大学の大学院法学研究科と高等司法研究科のスタッフが中心となって、法曹、とりわけ弁護士に期待される新しい職務について調査研究し、それを様々な角度から分析することによって、10年前後の近未来における法曹の新しい職域のグランドデザインを明らかにすることを目指しています。

21世紀に入り、わが国は大きな変動期を迎え、社会の制度的インフラが大きく変化してきています。それに伴い、制度を動かす担い手としての専門家のあり方も急速に変化しています。法曹についても、もっぱら訴訟を中心とした従来型の職務のあり方は変わりつつあり、戦略的経営や予防法務、技術開発における法的リスク管理、交渉の代理、紛争管理といった業務に法曹が積極的に関わることが求められるようになってきています。法曹のこのような新しい業務を法曹のあるべき姿との関係でどのように位置づけ、また検討の成果をどのように法科大学院における法曹養成教育に生かしていくか、本研究プロジェクトではそのような問題に取り組んでいます。

本プロジェクトでは、その調査研究の一環として、企業を対象にした、法曹に関するアンケート調査の実施を計画しています。これまで法曹の関与は必要ないと考えられてきた業務であっても、実は様々な仕方で法曹が関与した方が関係者にも得られる便益が大きいということがしばしば指摘されています。本アンケート調査では、そうした業務に法曹がどこまで関与できるのか、関与するためにはどのような条件があるかといったことを調べたいと思っております。つまり、企業の主要業務を手がかりとして、手軽に法的助言が得られるのであればどのような業務に法的助言が欲しいか、場合によっては法曹が担った方がよい職務にはどのようなものがあるか、あるいは逆に法曹が入ってきては困る業務にはどのようなものがあるか、といったことについての模索調査を実施したいと考えています。何かとご多忙の時期とは存じますが、私どもの調査研究の趣旨にご理解を賜り、できる限り多くの企業に本アンケート調査にご協力頂ければ幸いです。

大阪大学大学院法学研究科教授・総長補佐 三成賢次